【失敗しない】飲食店の照明選び|照度・色温度・演色性で決める業態別のコツ
著者:八幡建装 株式会社
「お店の照明をおしゃれにしたいけれど、どう選べばいいかわからない」
「法律や基準があるみたいで、どんな器具が適切なのか不安だ」
そんな悩みを抱えていませんか。
この記事では、飲食店における照明の役割や選び方の基準を解説します。
おすすめの種類から法律上の注意点まで、幅広く取り上げました。
ぜひ最後までお読みください。
なお弊社では、店舗の内装工事から照明デザインのプランニングまで一貫して承っております。
理想の空間づくりと集客力アップを、しっかりサポートいたします。
目次
飲食店における照明の重要な役割とは?

飲食店の照明は、空間を明るくするためだけの「明かり」ではありません。
顧客の心理に働きかけ、売上や満足度を左右する重要な要素です。
その役割は、主に次の2つに整理できます。
| 役割 | 効果 |
| 料理を美味しく見せる | 客単価や満足度の向上につながる |
| コンセプトを体現する | 非日常感を演出し、滞在時間を最適化する |
それぞれの役割を、詳しく見ていきましょう。
料理を美味しく見せて客単価や満足度を上げる
適切な照明設計は、料理を魅力的に見せます。
その結果、顧客の満足度や客単価の向上に大きく貢献します。
光の当たり方や色合いが、人間の食欲や味覚に直接影響を与えるためです。
たとえば、温かみのある電球色でステーキや揚げ物を照らすとどうでしょう。
油の照りやジューシーさが強調され、格段に美味しそうに見えてきます。
美しい光のもとで撮影された料理写真は、SNSでの拡散も後押しします。
InstagramなどでシェアされればPRとなり、新規顧客の獲得にもつながるでしょう。
料理の魅力を最大限に引き出す光の演出は、売上を左右する重要な戦略といえます。
店舗のコンセプトを体現し、非日常感を演出する
飲食店の照明には、店舗のコンセプトを体現する役割があります。
顧客に心地よい非日常空間を届けるうえで、欠かせない存在です。
視覚から入る光の情報が、空間の雰囲気や居心地を大きく決定づけるからです。
たとえばフレンチレストランでは、全体の照度をぐっと落とします。
そのうえでテーブルのキャンドルやスポットライトを際立たせ、高級感と特別感を演出します。
一方、大衆居酒屋では明るく均一な照明を採用し、活気ある賑やかな雰囲気をつくり出します。
このようにターゲット層や業態に合わせて照明をデザインすれば、滞在時間を最適化できます。
結果としてリピート率を高めることも可能です。
飲食店の照明選びの基準【3つのポイント】

飲食店の照明を選ぶときは、感覚だけに頼ってはいけません。
専門的な指標にもとづいた基準を持つことが大切です。
理想の空間をつくるための物差しを理解すれば、失敗のない照明計画が立てられます。
選定の基準となるポイントは、次の3つです。
| ポイント | 指標 | 役割 |
| ① 明るさ | 照度(ルクス) | 空間の印象を決める |
| ② 光の色合い | 色温度(ケルビン) | 雰囲気や感情を操作する |
| ③ 色の再現性 | 演色性(Ra) | 食材の鮮度を伝える |
それぞれ詳しく解説します。
ポイント①:空間の明るさを決める「照度(ルクス)」
第一の基準は、空間の明るさを示す「照度(ルクス)」です。
業態に合わせて、適切な値に設定しましょう。
照度が高ければ活発で賑やかな印象になります。
反対に低く抑えれば、落ち着いた親密な雰囲気が生まれます。
たとえばファミリーレストランやファストフード店はどうでしょう。
回転率を上げたいため、500〜1000ルクス程度の高い照度が推奨されます。
一方、高級レストランやバーでは、50〜200ルクス程度に抑えるのが一般的です。
照度を落とすことで、リラックス効果を高める狙いがあります。
目的やターゲット層に合わせて照度を設計すれば、居心地の良さと収益性を両立できます。
ポイント②:光の色合いを操作する「色温度(ケルビン)」
第二の基準は、光の色合いを表す「色温度(ケルビン)」です。
これを業態に応じて使い分けます。
色温度の違いは、顧客の心理状態やリラックス感に大きく影響します。
数値が低いほど、赤みを帯びた温かい光になります(電球色:約2700〜3000K)。
逆に数値が高いほど、青白くクールな光に近づきます(昼光色:約6500K)。
カフェや居酒屋などくつろぎを重視する店では、温かみのある電球色が最適です。
厨房のような作業スペースには、手元がはっきり見える昼白色(約5000K)を採用します。
空間の用途に応じて色温度を操れば、届けたい感情や雰囲気を自在にコントロールできます。
ポイント③:食材の鮮度を伝える「演色性(Ra)」
第三の基準は「演色性(Ra)」です。
これは、照明が物体の色をどれだけ自然に再現できるかを示す指標です。
演色性の高い照明を使えば、食材本来の色鮮やかさが際立ちます。
料理の魅力を、正確に伝えられるようになるのです。
演色性はRa100を最高値とし、飲食店では一般的にRa80以上が求められます。
新鮮な刺身を出す寿司店や、彩り豊かな野菜を扱うイタリアンではどうでしょう。
こうした店では、Ra90以上の高演色LED照明を採用するのがおすすめです。
料理のクオリティを視覚で訴えるためにも、演色性は妥協できないポイントです。
飲食店照明でおすすめの器具の種類【5選】

理想の空間を演出するには、照明器具それぞれの特徴を理解する必要があります。
そのうえで、適材適所に使い分けることが大切です。
照明には、演出効果と省エネ性の両立が求められます。
そのため、器具の選定は工事の費用にも直結する重要な工程です。
ダウンライトやトラックライト、間接照明など、選ぶ器具によって工数や材料費は変わります。
おすすめの器具は、次の5種類です。
| 種類 | 特徴 |
| ① ペンダントライト | テーブルを華やかに演出する |
| ② ダウンライト | 空間をすっきり見せる |
| ③ スポットライト | 視線を誘導し強調する |
| ④ ブラケットライト | 壁面に陰影を作る |
| ⑤ 間接照明・ライン照明 | 奥行きと高級感を生む |
それぞれ詳しく解説します。
種類①:テーブルを華やかにする「ペンダントライト」
ペンダントライトは、天井からコードやチェーンで吊り下げるタイプの器具です。
テーブル上を華やかに演出するのに、もってこいの照明といえます。
光源が顧客の視界に入りやすく、器具のデザインそのものがインテリアとして機能するためです。
たとえば木材を基調としたカフェを思い浮かべてください。
ホーローやガラス製のペンダントライトを、各テーブルの中心に低めに吊るします。
すると、ぐっと親密な空間が生まれます。
ルイスポールセンのような有名ブランドを取り入れれば、一気に洗練された印象を与えられます。
視線を料理やテーブル周辺へ集める効果が高く、飲食店で最も人気の照明の一つです。
種類②:空間をすっきりと見せる「ダウンライト」
ダウンライトは、天井に埋め込む形で設置する器具です。
空間全体を、すっきりとスタイリッシュに見せてくれます。
器具本体が目立たないため、インテリアの邪魔をせず、空間の広がりを強調できるからです。
通路や広いホール部分のベース照明として、等間隔に配置するのが一般的です。
調光機能付きを選べば、ランチは明るく、ディナーは照度を落とすといった演出も思いのままです。
どんな業態にも馴染みやすく、飲食店の基礎となる光環境に欠かせない器具といえます。
種類③:視線を誘導し強調する「スポットライト」
スポットライトは、特定の方向へ強い光を照射する器具です。
店内の見せたいポイントを、ぐっと強調できます。
光と影のコントラストを生み出し、空間に立体感とドラマチックな印象を与えるためです。
入り口の看板、壁のアート作品、カウンター上の料理などをピンポイントで照らすと効果的です。
ダクトレールと組み合わせれば、テーブル配置の変更に合わせて光の向きを簡単に調整できます。
顧客の視線を自然に誘導し、店舗の魅力を際立たせる強力なツールといえるでしょう。
種類④:壁面に陰影を作る「ブラケットライト(壁付照明)」
ブラケットライトは、壁面に取り付ける補助照明です。
空間に広がりと、豊かな表情をもたらします。
壁に光が反射すると柔らかな陰影が生まれ、平坦になりがちな壁面にアクセントを加えられるためです。
クラシカルな洋食店やオーセンティックバーで重宝されます。
レンガ調の壁や、特徴的なクロス材の魅力を引き出してくれるのです。
アンティーク調の真鍮製を選べば、それ自体がおしゃれな装飾品として映えます。
メイン照明だけでは不足しがちな奥行き感を補い、ワンランク上の上質な雰囲気を演出します。
種類⑤:空間に奥行きと高級感を生む「間接照明・ライン照明」
間接照明やライン照明は、光源を直接見せない手法です。
壁や天井、床に光を反射させて空間を照らします。
光が均一に柔らかく広がるため、目に優しく、上質で落ち着いた高級感を演出できます。
カウンターの足元に仕込むフットライトや、天井の折り上げ部分のLEDテープライトが代表例です。
高級寿司店やラウンジなど、極上のリラックス体験を届けたい業態で特に効果を発揮します。
光源を隠すための造作工事は必要ですが、洗練された非日常空間をつくるなら投資する価値があります。
飲食店でおしゃれな照明デザインを作るコツ【業態別4選】

照明デザインは、提供するメニューやターゲット層に合わせて最適化することが肝心です。
そうすれば、集客力と顧客満足度を大きく高められます。
業態別のコツは、次の4つです。
| 業態 | 照明デザインのコツ |
| ① カフェ | 自然光と調和させ、温かみを添える |
| ② 居酒屋・和食店 | 落ち着きと活気を両立させる |
| ③ レストラン | 手元を照らし、特別感を演出する |
| ④ バー | 照度を落とし、陰影を際立たせる |
それぞれ詳しく解説します。
業態①:カフェは自然光との調和と温かみのある照明
カフェでは、昼間の自然光を最大限に活かしましょう。
そこへ温かみのある光を組み合わせるのが成功のコツです。
長時間滞在する顧客が多く、リラックスできる開放的な空間が求められるからです。
日中は、大きな窓からの自然光を主役にします。
奥まった席や夕方以降は、温白色(約3500K)のダウンライトや電球色のペンダントライトの出番です。
優しい光で、空間をふんわりと包み込みます。
木製家具や観葉植物との相性を考え、自然素材のランプシェードを取り入れるのも効果的です。
自然光と人工光を巧みに調和させれば、時間帯を問わず居心地の良い空間が実現します。
業態②:居酒屋・和食店は落ち着きと活気を両立する照明
居酒屋や和食店では、相反する2つの要素が求められます。
くつろげる「落ち着き」と、お酒が進む「活気」です。
この2つを融合させると、賑わいながらも心地よい滞在時間を提供できます。
ベース照明には、安心感のある温かい電球色を採用しましょう。
そこへ提灯型の照明や和紙のペンダントライトを多灯分散させ、空間にリズムを生み出します。
個室や座敷席では、テーブル中央を明るく、周囲の壁面を暗めにしてプライベート感を強調します。
光の明暗を操ることで、和の趣を感じさせながらも活気あふれる空間が完成します。
業態③:レストランは手元を照らし特別感を演出する照明
記念日やデートで使われるレストランはどうでしょう。
全体の照度を抑え、テーブル上だけを際立たせる設計が有効です。
周囲を暗く、手元を明るくすることで、同席者との親密な会話を促し、料理への没入感を高められるからです。
通路や壁面のベース照明は、最小限にとどめます。
狭角のダウンスポットやグレアを抑えたペンダントライトで、テーブル中央のみをピンポイントに照らします。
演色性の高い器具(Ra90以上)を選べば、シェフが丹精込めた一皿の色彩を完璧に再現できます。
明暗のコントラストを極限まで高めることが、特別感を演出する最大のポイントです。
業態④:バーは照度を落として陰影を際立たせる照明
バーでは、店内の照度を極力落とします。
計算された陰影で、ムーディーな大人の空間を作り上げるのが基本です。
暗がりに浮かぶ微かな光が、顧客の緊張をほぐし、お酒の味わいを深めてくれます。
メインとなるバックバー(酒棚)には、ボトルを下から照らすライン照明を仕込みます。
色とりどりのリキュールが、美しく輝き出します。
カウンター席には、グラスの氷が煌めくよう、極小のスポットライトを真上から落とすと効果的です。
直接光を避け、間接照明を主体にすれば、日常の喧騒から切り離された隠れ家のような空間が完成します。
飲食店の照明設置で注意すべき法律・ルール【3つのポイント】

照明計画では、デザイン性だけに目を奪われてはいけません。
法律や実務上のルールを守ることも、同じくらい重要です。
ルールに違反すると、営業許可が下りないなどのトラブルに発展しかねません。
注意すべきポイントは、次の3つです。
| ポイント | 内容 |
| ① 照度基準 | 風営法や都道府県条例の基準をクリアする |
| ② 厨房の明るさ | 労働安全衛生規則の基準を確保する |
| ③ グレア・保守性 | 眩しさ対策とメンテナンス性を考慮する |
それぞれ詳しく解説します。
ポイント①:風営法や都道府県条例による照度基準をクリアする
深夜営業や酒類提供を行う場合、注意したい法律があります。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)です。
この風営法や各都道府県の条例が定める照度基準を、クリアしなければなりません。
店内が暗すぎると風俗営業とみなされ、通常の飲食店としての営業許可が取れないためです。
深夜酒類提供飲食店営業では、客席の照度を「10ルクス以下にしないこと」と定められています。
10ルクスとは、上映前の映画館ほどの明るさです。
調光器を設置する場合は、最も暗く絞った状態でも10ルクスを下回らない設備対策が求められます。
暗い空間を演出したいときも、必ず管轄の警察署や保健所の基準を事前に確認してください。
ポイント②:厨房は労働安全衛生規則の明るさを確保する
顧客の目に触れない厨房やバックヤードにも、ルールがあります。
労働安全衛生規則にもとづき、従業員が安全に働ける明るさを確保しなければなりません。
包丁や火を扱う厨房では、照度不足が重大な労働災害や衛生管理の不備に直結するためです。
精密な作業を伴う厨房内は、150〜300ルクス以上の照度が推奨されます。
食材の鮮度を正しく見極めるため、色温度は自然光に近い昼白色(5000K)が適しています。
演色性の高い器具を選ぶことも大切です。
なお既存の電気容量が足りない場合は、ブレーカーや引込み線の増強が必要になります。
従業員の安全と食の安心を守るため、厨房の照明環境にも十分配慮しましょう。
ポイント③:光源の眩しさ(グレア)対策とメンテナンス性を考慮する
照明を設置する際は、「グレア(眩しさ)」への対策が欠かせません。
あわせて、将来のメンテナンスのしやすさも考えておきましょう。
グレアは顧客に強い不快感を与え、居心地の良さを著しく損なう原因となるためです。
対策としては、スポットライトの角度を調整し、直接視界に入らないようにします。
グレアカットルーバー付きのダウンライトを選ぶのも有効です。
高所の照明はランプ交換や清掃が難しいため、LEDのような長寿命の光源が向いています。
昇降装置を設けるなど、実務面の工夫も求められます。
デザイン性に加え、快適性と運用面の利便性を兼ね備えてこそ、照明計画は成功します。
飲食店の照明選びまとめ

飲食店の照明は、空間のおしゃれさを決めるだけのものではありません。
料理を美味しく見せ、顧客満足度や客単価を高める重要な役割を担っています。
照度や色温度、演色性といった専門的な基準を理解することが第一歩です。
そのうえでペンダントライトやダウンライトなど、多様な器具を適切に組み合わせます。
そうすれば、理想の店舗空間を創り上げられます。
一方で、専門知識が求められる場面も少なくありません。
風営法にもとづく照度基準のクリア、電気容量の確認、グレア対策などがその一例です。
失敗のない照明計画を実現するには、デザインと施工の両面に精通したプロへの相談が近道といえるでしょう。
弊社では、店舗コンセプトに合わせたおしゃれな照明デザインを提案いたします。
電気設備工事から内装仕上げまで、ワンストップで対応可能です。
集客力と収益性を高める店舗づくりをお考えのオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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