店舗内装で失敗しない厨房の排気フードの基礎知識|消防法・風量計算・材質をプロが解説
著者:八幡建装 株式会社
「消防法や保健所の検査で、フードの設置が原因で不合格になったらどうしよう」
このような疑問を持っている店舗オーナーもいるのではないでしょうか。
飲食店にとって厨房排気は、単なる煙出しではなく、安全な店舗運営と快適な空間づくりを左右する生命線です。
本記事では、厨房排気フードの種類や選び方、そして絶対に守るべき法的基準について詳しく解説します。
弊社では、千葉県市川市や東京都内を中心に店舗内装の設計から施工、各種法令対応までトータルでサポートしております。
理想の厨房環境を実現したい方は、詳しくは以下からご確認ください。
目次
厨房の排気フードが店舗内装の成否を分ける3つの理由

厨房における排気フードは、単に煙を吸い込むだけの設備ではありません。店舗を安全に運営し、お客様に満足いただける空間を作るためには、適切なフードの選定と設置が必要です。
本セクションでは、排気フードが店舗内装の成功にどう貢献するのか、以下の3つの観点から詳しく紹介します。
保健所・消防の検査をスムーズにクリアするため
飲食店を開業する際には、保健所による営業許可と、消防署による防火対象物の検査を通過しなければなりません。
厨房排気フードは、これらの検査において厳しくチェックされる項目のひとつです 。
排気フードの設置位置や材質、換気能力が基準を満たしていない場合、再工事を命じられるリスクがあります。
実際に、排気フードの高さが不適切であったり、可燃物との距離が近すぎたりすることで、開店直前に大幅な工期遅延が発生する事例も少なくありません。
確実に検査をクリアするためには、設計段階で最新の法規に基づいたフード選定と配置計画を行うことが重要です。
ダクト火災を防ぎ、店舗の資産価値を守るため
適切な排気フードの運用は、飲食店にとって最も恐ろしいリスクのひとつである「ダクト火災」を未然に防ぐことにつながります。
フード内に蓄積された油脂汚れは極めて燃えやすく、調理中の炎が引火すると大規模な火災を招く恐れがあるためです。
特に中華料理や焼き肉店など、油を多く使用する業態では、排気フードの性能が火災予防の鍵を握ります。
高性能なグリスフィルターを備えたフードを適切に設置し、日々のメンテナンスを容易にする設計にすることで、火災のリスクを大幅に低減できるでしょう。
客席の快適性(ニオイ・温度)を維持するため
排気フードの性能は、厨房内だけでなく客席の環境にも多大な影響を及ぼします。
不適切な排気設計は、厨房の熱気や調理時のニオイが客席に流れ込む原因となり、お客様の満足度を著しく低下させるからです。
とくにオープンキッチンの場合、排気効率が悪いと店内に煙が充満し、お客様の衣服にニオイがついてしまうといったトラブルが発生しやすくなります。
適切な風量計算に基づいたフードを設置することで、常にクリーンで快適な室温の客席空間を保つことが可能です。
客席の快適性を追求することは、店舗内装における戦略的な優先事項であると認識してください。
厨房の排気フードの種類と用途別の選び方4選

厨房排気フードには、形状や機能によっていくつかのタイプがあり、店舗の業態やキッチンのレイアウトに合わせて最適なものを選ぶ必要があります。
本セクションでは、一般的に採用されることの多い4つの代表的なフードタイプについて、それぞれの特徴と活用シーンを紹介します。
汎用性が高く低コストな「ボックス型(箱型)」
ボックス型は、箱のような四角い形状をした一般的でスタンダードな排気フードです。
シンプルな構造のため製造コストが低く、多くの飲食店の厨房で幅広く採用されている実績があります。
このタイプは壁面に沿って設置されることが多く、導入コストを抑えたい居抜き物件の改修や、機能性を重視するバックヤードの厨房に最適です。
施工も比較的容易なため、工期を短縮したい場合にも選ばれることが多いのが特徴といえます。
ただし、形状が四角いため角に煙が溜まりやすく、排気効率を維持するためには定期的な清掃が欠かせません。
コストパフォーマンスを重視しつつ、標準的な排気能力を確保したいオーナー様におすすめの選択肢です。
排気効率を最大化する「山型(フード型)」
山型(フード型)は、上部に向かって絞り込まれた形状をしており、煙や熱気をスムーズにダクトへ導く設計になっています。
気流の乱れが少なく、ボックス型に比べて高い排気効率を誇るのが最大の特徴です。
油煙が多く発生する中華料理店や、大量の蒸気が出る大型の茹で麺機を使用する店舗などで、その真価を発揮します。
効率的に排気を行うことで、厨房内の温度上昇を抑え、スタッフの作業環境を大幅に改善することが可能です。
サイズが大きくなりやすいため、設置にはある程度の天井高とスペースが必要になりますが、機能面では非常に信頼性の高いタイプです。
厨房の熱環境を最適化したい場合には、第一候補として検討すべき形状といえるでしょう。
オープンキッチンに最適な「マントル型」
マントル型は、天井から吊り下げるスタイルで、デザイン性が非常に高い排気フードです。
スタイリッシュな外観から、お客様に厨房を見せるオープンキッチンや、カウンター形式のレストランで頻繁に採用されます。
機能面でも、四方向から煙を吸い込めるように設計されているものが多く、アイランド型の調理台にも対応可能です。
店舗のインテリアの一部としてフードを魅せることができるため、空間全体の洗練された雰囲気を壊さずに設置できます。
特注製作になるケースが多く、ボックス型などに比べると導入費用は高くなる傾向にあるため、注意が必要です。
天井が低い小規模店舗に適した「平型(フラット型)」
平型(フラット型)は、フード全体の厚みを極限まで抑えた薄型の排気フードです。
天井が低く、通常のフードでは圧迫感が出てしまう場所や、設置スペースが限られた小規模な店舗で重宝されます。
コンパクトながら、近年の技術向上により十分な吸引力を備えたモデルも増えており、カフェの軽食コーナーや限られたスペースの厨房に最適です。
スリムな見た目は厨房内をスッキリと見せ、狭い作業空間でもスタッフの動きを妨げません。
ただし、捕集できる煙の容積が小さいため、強火を多用する本格的な調理には不向きな場合があります。
導入の際は、自店の調理メニューと排気量のバランスを十分に検討することが重要です。
厨房の排気フード設置で厳守すべき3つの法的基準

厨房排気フードの設置には、火災防止や公衆衛生の観点から法律による厳しい規制が設けられています。
これらを無視した施工は、違法状態となるだけでなく、重大な事故を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。
本セクションでは、内装設計において特に意識すべき3つの法的基準を詳しく解説します。
消防法による「可燃物との離隔距離」のルール
消防法では、火災予防のために排気フードと周囲の可燃物(壁内の木材など)との間に、一定の距離を保つ「離隔距離」が定められています。
フード本体だけでなく、熱を持つダクト周囲についても厳格なルールが存在します。
一般的に、排気フードはガスコンロなどの火元から一定の高さ以上に設置し、周囲の壁が可燃性の場合は不燃材料で保護しなければなりません。
この基準を守らないと、壁の内部で低温発火が起こり、気づかないうちに大規模な火災に発展する危険性があります。
消防法について詳しい内容は以下の記事で解説しておりますので、合わせてご確認ください。
関連記事:天井と消防法の関係性|制限内容や起こり得るリスクまで解説
建築基準法に基づく「不燃材料」の使用義務
建築基準法では、厨房排気フードおよびその接続ダクトの材質について、原則として「不燃材料」を使用することが義務付けられています。
万が一、フード内で火災が発生しても、設備そのものが燃えて延焼することを防ぐためです。
通常、排気フードはステンレスやガルバリウム鋼板などの不燃金属で作られます。
また、フードを支える天井や周囲の壁の下地についても、耐火性能を備えたボードや軽量鉄骨を使用する必要があるため、施工範囲全体の仕様確認が求められます。
安価な材料で代用しようとすることは、法的なリスクだけでなく安全性を著しく損なう行為です。
必ず基準を満たした高品質な素材を選定し、プロの施工業者に依頼することで、長期的な耐久性と安全性を確保してください。
関連記事:建築基準法における内装制限のルールとは?違反するリスクや対策方法も解説
保健所がチェックする「グリスフィルター」の設置
保健所の営業許可検査では、排気フードに適切な「グリスフィルター」が設置されているかどうかが重要なチェックポイントです。
フィルターは排気ガスに含まれる油分を捕捉し、ダクト内や屋外への油の流出を防ぐ役割を担います。
グリスフィルターがない、あるいは不適切なものが付いていると、衛生上の問題だけでなく、屋外の排気口周囲を汚染し近隣トラブルに発展する原因にもなります。
検査では、フィルターの有無だけでなく、清掃がしやすい構造か、油受け(グリス受け)が備わっているかも確認されるため、注意が必要です。
厨房の排気フードの施工・設計をプロに相談する
厨房排気フードは、飲食店の「安全」と「快適」を支える心臓部ともいえる設備です。
自分だけで判断して誤ったフードを選んでしまうと、開業後のトラブルや法的な是正勧告など、多大なコストとリスクを背負うことになりかねません。
失敗しない店舗づくりのためには、経験豊富なプロの視点を取り入れることが、結果として最も確実で安上がりな方法となります。
弊社では、千葉県市川市や東京都内を中心に多種多様な飲食店の内装工事を手掛けてきました。
お客様の業態や予算に合わせた最適な排気システムのご提案から、複雑な申請業務のサポートまで、一貫してお手伝いさせていただきます。
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