飲食店の居抜き物件とは?費用相場200万〜600万円と失敗しない選び方を解説
著者:八幡建装 株式会社「飲食店を居抜きで開業したいが、費用はどこまで抑えられるのだろう」
「内装や厨房設備で失敗しない物件の選び方を知りたい」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
本記事では、飲食店の居抜き物件について費用相場からメリット・デメリット、開業までの手順まで解説します。
店舗開業の成否は、物件契約前にどれだけ正確な情報を集められるかで大きく変わります。
弊社では飲食店の居抜き内装工事や設備調査を数多く手掛けてまいりました。
物件契約前の現地調査から、最適な改装プランのご提案まで対応しております。
詳しくは以下をクリックしてお問い合わせください。
目次
飲食店を居抜きで開業する基礎知識【押さえるべき3つの違い】

飲食店を居抜きで開業するなら、まずは物件の構造や状態に関する基礎知識を整理しておきましょう。
スケルトン物件との違いを知らないまま契約すると、予期せぬ追加費用に悩まされかねません。
①居抜き物件とは?設備や内装が残された状態
居抜き物件とは、前のテナントが使っていた内装や厨房設備、空調機器、什器などが残された状態で貸し出される物件です。
退去時の原状回復費用を抑えたい前テナントと、初期投資を抑えたい新規出店者。
双方に経済的なメリットがあるからこそ、近年は流通数が増えています。
| 設備の種類 | 具体例 |
| 厨房機器 | 冷凍冷蔵庫、製氷機、コールドテーブル |
| 空調換気設備 | 業務用エアコン、換気ダクト、排気フード |
| 内装造作 | カウンター席、テーブル、照明器具、床壁仕上げ |
残置された資産をどこまで活用できるか。そこが居抜き開業の採算を左右する判断基準といえるでしょう。
②スケルトン物件との違いとコスト・工期の比較
居抜き物件とスケルトン物件の最大の違いは、室内の躯体状態です。
スケルトン物件はコンクリート打ち放しの骨組みから施工するため、配管や電気の引き込みを含めて多額の工事費と数か月の工期を要します。
20坪前後の飲食店における一般的な比較例は以下の通りです。
| 比較項目 | スケルトン物件 | 居抜き物件 |
| 初期内装・設備工事費 | 1,000万〜1,500万円程度 | 200万〜600万円程度 |
| 工事期間 | 2〜3か月程度 | 2週間〜1か月程度 |
| 設計の自由度 | 完全自由 | 既存区画に制限あり |
費用と時間を最優先で抑えたい出店者にとって、居抜き物件は合理的な選択肢となります。
③同業態居抜きと異業態居抜きによる活用の違い
居抜き物件は、前店舗と同じ業態を引き継ぐ「同業態居抜き」と、異なる業態で出店する「異業態居抜き」とで工事費用が大きく変動します。
厨房区画の配置や給排水設備、電気容量が自社の調理オペレーションと合わなければ、大規模な改修工事が避けられないためです。
| 区分 | 具体例 | 想定される工事内容 |
| 同業態 | カフェ跡地にカフェを出店 | 厨房動線を流用し、部分的なクロス張替のみ |
| 異業態 | 物販店跡地にラーメン店を出店 | 給排水管の口径やガス容量が不足し、数百万円規模の工事が発生 |
前店舗の営業許可種別や厨房仕様の確認を省略した結果、契約後に多額の追加改修費が判明するケースは決して珍しくありません。
飲食店の居抜き物件を選ぶメリット3選

飲食店の開業で居抜き物件が選ばれる最大の理由は、限られた資金と時間を最大限に活かせる点にあります。
資金繰りを安定させながら早期に営業を開始できるかどうか。
これは創業初期の生存率を左右する要素です。
メリット①:内装・厨房設備の初期投資費用を削減できる
居抜き物件を活用する最大の利点は、内装工事費や厨房機器の購入費用を圧縮できる点にあります。
店舗投資の大部分を占める給排水・電気配線・排気ダクト工事、そして大型冷凍冷蔵庫の新規調達を省略できるからです。
スケルトンから開業すれば1,500万円以上の投資が必要となる事例も一般的です。
一方、状態の良い厨房機器が揃った居抜き物件なら、設備投資を300万〜500万円前後に抑えられるでしょう。
削減できた数百万円は、開業後数か月分の家賃や人件費、WEB広告などの販促費へ充当可能です。
手元現金を多く残した状態で開業できることは、初期の経営リスクを抑える確実な防壁となります。
メリット②:オープンまでの準備期間を短縮できる
居抜き物件なら、契約の締結からオープン日までの準備期間を大きく縮められます。
基礎的な内装や設備がすでに完成しており、工事日程を最小限に設定できるためです。
スケルトン物件では設計から施工完了まで3か月以上を要し、工事中も家賃を払い続けなければなりません。
これに対し、設備のクリーニングや看板の付け替えが中心となる居抜き工事であれば、約2週間から1か月程度で営業許可の取得まで進められます。
家賃月額30万円の物件で2か月短縮できれば、約60万円の空家賃を削減できる計算です。
工期短縮による空家賃の圧縮は、開業前の無駄な資金流出を直接食い止めます。
メリット③:前店舗の認知度や顧客層を一部引き継げる
飲食店の居抜き物件では、前店舗が長年かけて培った立地の認知度や来店動線をそのまま継承できます。
周辺住民や近隣のビジネス客に「あそこは飲食店がある場所だ」という意識が刷り込まれているためです。
たとえばオフィス街で10年営業していた定食屋の跡地に、新しく和食店を開業したとしましょう。
開店初日から前店舗の常連客が様子見を兼ねて来店する傾向は、実務上よく見られる現象です。
看板工事や店頭POPで業態変更を明確に告知すれば、ゼロから立地を認知させる場合と比べて初月の集客コストを抑えられるでしょう。
飲食店の居抜き物件で後悔しないためのデメリット・注意点4選

居抜き物件には魅力的なメリットがある一方、残置設備や前店舗の履歴に起因するリスクも潜んでいます。
事前に手を打たなければ、想定外の修繕費や風評被害が経営を圧迫しかねません。
注意点①:既存設備(厨房機器・空調)の老朽化と故障リスク
居抜き物件に備え付けられた厨房機器や空調設備は、引き渡し直後に故障するリスクを抱えています。
前テナントが長年使い続けた機器は耐用年数を迎えている場合が多く、譲渡後の修理費用はすべて自己負担となるためです。
| 設備 | 想定されるトラブル |
| 業務用エアコン | コンプレッサーの故障による冷暖房停止 |
| 製氷機・コールドテーブル | 冷媒ガスの漏洩による冷却不良 |
| グリストラップ・排水管 | 油泥の堆積による詰まりや悪臭の逆流 |
オープン初日にエアコンが故障し、急遽80万円の交換費用が発生した。そんな事例も実際に存在します。
現地内見の段階で専門業者を同行させ、機器の年式や動作状況を点検しておきましょう。
注意点②:前店舗のネガティブなイメージや悪評を引き継ぐリスク
前店舗が接客トラブルや味の不評によって閉店していた場合、そのイメージを引き継いでしまう危険があります。
近隣住民や通行人は店名の変更に気づかず、「以前閉店した、あまり美味しくない店」と混同して敬遠することがあるためです。
このリスクを避けるには、店頭ファサードの看板や照明デザインを一新し、経営者や料理人が交代した旨を記した開店チラシを近隣へポスティングしてください。
外観とコンセプトを刷新し、前店舗との違いを視覚的に示すことが成功の前提条件です。
注意点③:レイアウトや席数配置の自由度が制限される
居抜き物件は既存の厨房区画や柱、壁の位置に縛られます。
厨房の防水層や床下の給排水配管、排気ダクトを移設するには、スケルトン工事と同等以上の解体・移設費用がかかるためです。
客席数を30席確保して日商10万円を計画していたものの、既存フロアの形状上22席しか置けず、売上目標の下方修正を余儀なくされる。
こうした事例は少なくありません。
物件選定の段階で正確な平面図面を作成し、想定する回転数と客単価を維持できる席数を確保できるか検証すべきでしょう。
注意点④:造作譲渡料の妥当性とリース契約残債の確認不足
造作譲渡料の金額が適正か、残置設備にリース品が混ざっていないか。
この2点は厳格に確認しなければなりません。
価値に見合わない譲渡料を請求されたり、所有権がリース会社にある機器を誤って購入してトラブルへ発展する事例があるからです。
| 確認項目 | 想定されるトラブル |
| リース契約の有無 | 食洗機やPOSレジがリース中で、前オーナーの残債支払いを求められる |
| 譲渡料の妥当性 | 製造から10年以上経過した機器に200万円の造作代金が設定されている |
| 無償レンタル品の混入 | ビールサーバーや浄水器などメーカーからの貸与品が含まれている |
造作譲渡契約書の設備目録とリース契約書を突き合わせ、権利関係を精査することが重要です。
飲食店の居抜き開業費用相場【押さえるべきコスト内訳3選】

飲食店の居抜き開業にかかる総費用は、物件の規模や業態によって変わります。
とはいえスケルトン開業と比べれば、おおむね3割から6割程度の予算に収まる傾向にあるでしょう。
費用内訳①:物件取得費用(保証金・敷金・礼金・仲介手数料)
物件取得費用は、賃料の6〜10か月分程度が一般的な相場です。
商業用不動産の賃貸借契約では、住宅用より高額な敷金(保証金)が設定される商習慣があるためです。
家賃月額30万円の物件を契約する場合、初期費用の目安は以下の通りとなります。
| 費目 | 金額の目安 | 算出根拠 |
| 保証金・敷金 | 180万〜300万円 | 家賃の6〜10か月分 |
| 礼金 | 30万〜60万円 | 家賃の1〜2か月分 |
| 仲介手数料 | 33万円 | 家賃の1か月分+消費税 |
| 前家賃 | 30万円 | 翌月分の家賃 |
| 合計 | 約273万〜423万円 | — |
値引き交渉が難しい項目であるため、自己資金の優先枠として確保しておきましょう。
費用内訳②:造作譲渡料(無償〜数百万円の相場と価格決定要因)
造作譲渡料は、無償(0円)から300万円程度が市場の標準的な相場です。
価格を決めるのは、設備の経過年数やメンテナンス状態、そして前テナントの退去期日までの緊急度となります。
| 物件の状態 | 相場の目安 | 特徴 |
| 築浅・好立地 | 150万〜300万円程度 | 使用3年未満で最新機器が揃っている |
| 通常店舗 | 50万〜150万円程度 | 使用5〜10年程度で一部修繕が必要 |
| 早期退去希望 | 無償〜30万円程度 | 前オーナーが撤去期日に迫られている |
都心の主要駅前では高値がつきやすい一方、郊外や築古物件なら無償譲渡で交渉できるケースも見られます。
設備の減価償却年数と実勢価格を比べ、提示金額が妥当か冷静に判断してください。
費用内訳③:一部改装工事・看板張替・設備メンテナンス費用
居抜き物件であっても、まったく工事をせずに開業するのは困難です。部分改装や美装工事に100万〜300万円程度の予算を見込んでおきましょう。
| 工事項目 | 費用相場 |
| ファサードサイン・看板の張替工事 | 30万〜80万円 |
| 壁面クロスの張替や部分的な塗装工事 | 20万〜50万円 |
| 厨房機器の分解洗浄・ダクト清掃 | 15万〜30万円 |
| 給排水配管やグリストラップの高圧洗浄 | 10万〜20万円 |
「居抜き=工事費ゼロ」と過信すると、オープン直後の悪臭トラブルやブランドイメージの毀損を招きます。
飲食店の居抜き物件探しから開業までの手順5STEP

居抜き開業を円滑に進めるには、物件選定からオープンまでの実務プロセスを正しい順序で踏んでいく必要があります。
段取りの不備や確認漏れは、工期の遅延や金銭トラブルを引き起こしかねません。
STEP1:出店コンセプトの確定と必要インフラの洗い出し
物件を探し始める前に、営業に必要なインフラ容量を明確に定義してください。
電気・ガス・水道の仕様が決まっていなければ、候補物件が自社の調理器具に適合するか判断できません。
| インフラ | 確認すべき内容 |
| 電気容量 | 動力電源(三相200V)の有無と契約アンペア数 |
| ガス種別 | 都市ガスかプロパンガスか、ガスメーターの号数 |
| 給排水設備 | グリストラップの有無、給水管の口径 |
設備要件を一覧表にまとめておけば、物件探しのミスマッチを大幅に減らせます。
STEP2:居抜き専門ポータルや不動産会社での情報収集
情報収集では、専門ポータルサイトの活用と地域密着型不動産会社への直接訪問を併用しましょう。
条件の良い優良物件ほど、インターネット上に公開される前に水面下で成約してしまうためです。
飲食店舗専門サイトで新着通知を設定し、希望エリアの地元不動産会社を定期的に訪問して条件を提示しておく。
担当者に「資金調達の目処が立っており、即決できる」と伝えておけば、未公開物件を優先的に紹介してもらいやすくなります。
複数の情報ルートを確保し、新着物件へ即座に動ける体制が成功の分かれ目です。
STEP3:現地内見とインフラ容量・設備の通電動作確認
現地内見では、内装のデザインだけでなく既存設備の通電・通水確認を必ず実施してください。
契約締結後に機器の不具合が判明しても、前テナントへ修理費用を請求するのは極めて困難だからです。
| 確認対象 | 具体的な確認方法 |
| 電気系統 | ブレーカーを上げ、エアコンや冷蔵庫が正常に稼働するか |
| 給排水 | バルブを開き、水圧や排水の流れ、水漏れの有無を確認 |
| 換気設備 | 換気扇や排気ダクトを回し、異音や吸引力不足がないか点検 |
内見時の丁寧な動作確認こそが、契約後の設備トラブルを防ぐ最も効果的な自衛手段です。
STEP4:造作売買契約・店舗賃貸借契約の締結と名義確認
居抜き物件の契約では、「造作売買契約」と「店舗賃貸借契約」の2つを同時に進行させなければなりません。
どちらか一方だけが成立しても、賃借権か設備の所有権のいずれかを失い、出店が不可能になるためです。
造作譲渡契約書には「店舗賃貸借契約が締結されなかった場合は無条件で白紙解約となる」特約条項を明記してください。
あわせて厨房機器や什器の型番を記載した「造作目録」を作成し、現物と照合します。
二重契約のリスクを避けるため、特約事項を盛り込んだ書面手続きは省略してはなりません。
STEP5:保健所への営業許可申請・内外装施工・オープン準備
契約締結後は直ちに管轄の保健所へ事前相談を行い、並行して改装工事と各種申請を進めてください。
居抜き物件であっても、現在の食品衛生法の基準を満たさなければ営業許可は交付されません。
| 分類 | 実施内容 |
| 保健所対応 | 厨房図面を持参し、シンクの数や手洗い設備が基準を満たすか確認 |
| 内外装施工 | 看板付け替え、クロス張替、設備清掃の発注と工事監理 |
| 消防署対応 | 防火管理者選任届や使用開始届の提出 |
| 営業準備 | レジ導入、仕入れルートの開拓、スタッフ研修、プレオープン |
保健所の事前確認を工事着工前に済ませておけば、手戻り工事を防げます。
飲食店の居抜き物件選びで失敗を防ぐチェックポイント3選

契約直前には、後戻りできない重大な瑕疵が潜んでいないか最終確認する必要があります。
一見魅力的な物件であっても、インフラ不足や悪評といった見えない落とし穴で事業が頓挫する事例は後を絶ちません。
チェック①:電気・ガス・水道のインフラ容量が自店舗の業態を満たしているか
インフラ容量が不足していれば、外部からの幹線引き込み工事やガスメーター交換が必要となり、数百万円の追加費用が発生します。
| 業態 | 電気容量 | ガス | 水道 |
| カフェ・バー(軽飲食) | 30〜50A程度 | 都市ガス4〜6号程度 | 標準口径で対応可能 |
| ラーメン・中華・焼肉(重飲食) | 60〜100A以上 | 都市ガス16号以上 | メーター口径25mm |
ビル全体の電気容量に空きがなければ、そもそも増設工事すら行えません。
不動産会社や電力会社に対し、現行の最大受電容量と増設の可否を書面で確認しておいてください。
チェック②:前の店舗が閉店・退去した本当の理由をヒアリングしたか
前店舗がなぜ閉店に至ったのか。
その真の理由を不動産会社や近隣店舗からヒアリングしましょう。
「立地条件の構造的欠陥」が退去理由であれば、業態を変えても同じ失敗を繰り返すリスクが高いためです。
| 退去理由 | 新規出店者への影響 |
| 家賃が近隣相場より割高 | 業態を変えても営業利益を圧迫し続ける |
| 上層階住民からの油煙・騒音クレーム | 開業後も同じ苦情を受ける可能性が高い |
| 視認性が悪く入店率が低い | 集客に多額の広告費を要する |
表面的な説明を鵜呑みにせず、近隣の競合店舗へ足を運んでリアルな評判を聞き出す調査が効果的です。
チェック③:残置設備にリース品が含まれていないか(所有権の所在)
店内に残されたすべての設備について、前オーナーが所有権を持っているかを確認してください。
リース物件が含まれていた場合、前オーナーの残債を肩代わりさせられたり、リース会社に機器を回収されるトラブルが起こります。
食洗機や製氷機といった厨房設備、レジやPOS端末などの情報機器、ビールサーバーや浄水器などの貸与設備。
これらはリース契約が結ばれやすい代表例です。
所有権の所在を契約書上で確定させることが、譲渡後の金銭トラブルから自社を守る防護策となります。
飲食店の居抜き物件まとめ

飲食店の居抜き物件を活用した開業は、初期投資の抑制やオープンまでの期間短縮といった強力なメリットをもたらします。
一方で、設備の老朽化や隠れたインフラ不足、造作譲渡をめぐる契約トラブルなど、居抜き特有のリスクへの警戒も欠かせません。
自社の業態に必要なスペックを見極め、現地内見時の通電・通水確認と契約書の特約条項の精査を徹底すること。この2点が成功の必須要件となります。
八幡建装は千葉県および東京都全域で店舗工事を手掛けており、飲食店の施工実績も多数ございます。
物件契約前の現地調査同行から厨房設備の動作チェック、最適な内装リフレッシュプランのご提案まで一貫してサポートいたします。
見積もりの段階で自社にできること、できないことを明確にお伝えし、予算に合わせた最適なプランをご提供します。
居抜き物件での飲食店開業をお考えでしたら、ぜひ一度八幡建装へご相談ください。
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