原状回復に伴うオーナーと入居者の負担割合の計算方法とは?トラブル回避の方法も解説
著者:八幡建装 株式会社
マンションオーナーとして初めて原状回復の対応をする際、入居者との負担割合の計算方法に悩むことは少なくありません。どこまでがオーナー負担で、どこからが入居者負担なのか、判断基準を誤るとトラブルにつながる可能性もあります。
本記事では、原状回復に伴うオーナーと入居者の負担割合の計算方法やトラブル回避の方法などを詳しく解説します。
八幡建装は、千葉県、東京都全域でマンションの原状回復工事も行っており、無料で相談も承っています。
中間マージン費用がなく、お客様がお支払いする費用がすべて原状回復工事にかかる費用となるため、ぜひ一度相談してみてください。
目次
原状回復ガイドラインに記載されている負担割合表

国土交通省が定めている原状回復ガイドラインでは、オーナーと入居者の負担割合がしっかりと記載されています。
建物の経年劣化や通常使用による損耗と、入居者の故意・過失による損傷が区別され、それぞれのケースに応じた負担割合が示されています。
具体的には、壁紙や床材、設備機器などの各部位ごとに、耐用年数を考慮した減価償却の考え方を基に負担割合が決められており、以下の通りです。
床
入居者負担 | 1.カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビ(こぼし た後の手入れ不足等の場合) 冷蔵庫下のサビ跡(サビを放置し、床に汚損等の損害を与えた 場合) 引越作業等で生じた引っかきキズ フローリングの色落ち(賃借人の不注意で雨が吹き込んだこと などによるもの) |
大家負担 | 畳の裏返し、表替え(特に破損してないが、次の入居者確保のた めに行うもの) フローリングのワックスがけ 家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡 畳の変色、フローリングの色落ち(日照、建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの) |
引用:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
壁、天井
入居者負担 | 1賃借人が日常の清掃を怠ったための台所の油汚れ(使用後の 手入れが悪く、ススや油が付着している場合 2.賃借人が結露を放置したことで拡大したカビ、シミ(賃貸人に 通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食 させた場合) 3.クーラーから水漏れし、賃借人が放置したため壁が腐食 タバコのヤニ、臭い(喫煙等によりクロス等が変色したり、臭い が付着している場合) 壁等のくぎ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、 下地ボードの張替えが必要な程度のもの) 賃借人が天井に直接つけた照明器具の跡 落書き等の故意による毀損 |
大家負担 | 1.テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ) 2.壁に貼ったポスターや絵画の跡 3.壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの) 4.エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡 5. クロスの変色(日照などの自然現象によるもの) |
引用:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
建具
入居者負担 | 1.飼育ペットによる柱等のキズ、臭い(ペットによる柱、クロス等 にキズが付いたり、臭いが付着している場合) 2.落書き等の故意による毀損 |
大家負担 | 1.専門業者による全体のハウスクリーニング(賃借人が通常の清掃を 実施している場合) 2.エアコンの内部洗浄(喫煙等の臭いなどが付着していない場合) 消毒(台所・トイレ) 浴槽、風呂釜等の取替え(破損等はしていないが、次の入居者確 保のために行うもの) 鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合) 設備機器の故障、使用不能(機器の寿命によるもの) |
引用:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
設備
入居者負担 | 1.飼育ペットによる柱等のキズ、臭い(ペットによる柱、クロス等 にキズが付いたり、臭いが付着している場合) 落書き等の故意による毀損 |
大家負担 | 1.専門業者による全体のハウスクリーニング(賃借人が通常の清掃を 実施している場合) 2.エアコンの内部洗浄(喫煙等の臭いなどが付着していない場合) 3.消毒(台所・トイレ) 4.浴槽、風呂釜等の取替え(破損等はしていないが、次の入居者確保のために行うもの) 5.鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合) 6.設備機器の故障、使用不能(機器の寿命によるもの) |
引用:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
原状回復の負担割合に関する計算方法はなく経過年数や耐用年数で決まる

原状回復の負担割合が決まるのは、経過年数や耐用年数です。
建物や設備が時間とともに自然に劣化していくことを考慮し、公平な負担割合を定めるための基準となっているからです。
たとえば、壁紙や床材は新品の状態から使用されるにつれて徐々に価値が下がり、一定の年数を経過すると原則として残存価値がゼロになるため、それ以降の交換費用はオーナー負担となります。
経過年数・耐用年数が考慮される部分は以下の通りです。
部位 | 耐用年数 |
畳床・カーペット・クッションフロア・壁クロス・エアコン・冷蔵庫・ガス機器・インターホン | 6年 |
流し台 | 5年 |
書棚、たんす、戸棚、茶ダンスなど | 8年 |
便器、洗面台等の給排水・衛生設備 ・電気冷蔵庫、ガス機器(ガスレンジ) 経過年数の考慮等 ・主として金属製の器具・備品 | 15年 |
ユニットバス、浴槽、下駄箱 | 建物の耐用年数が適用される |
引用:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
原状回復に関する特約がある場合の負担割合
原状回復に関する特約がある場合、負担割合は通常のガイドラインとは異なり、契約内容によって決定される仕組みです。
特約とは、賃貸借契約の中で通常の原状回復のルールとは異なる条件を定めるものであり、特定の修繕費用を入居者が負担することを明記するケースが多く見られます。
例えば、通常の使用による壁紙の汚れや経年劣化による損耗については原則としてオーナーが負担するものとされていますが、特約で「退去時には壁紙を全面張り替えるものとする」と定められている場合、入居者はその費用を負担する義務を負うことになります。
また、フローリングに関しても、「退去時にクリーニング費用を入居者が全額負担する」と明記されていれば、経年劣化とは関係なく、入居者が費用を支払う必要が生じます。
原状回復のトラブルを避ける方法

原状回復のトラブルを避ける方法は、主に以下の通りです。
- 契約するタイミング
- 入居するタイミング
- 退去時・立ち合いするタイミング
詳しく解説します。
契約するタイミング
原状回復に関するトラブルを避けるためには、契約を結ぶ段階で慎重に確認し、双方の認識のズレをなくすことが重要です。
特に賃貸借契約書の内容を十分に理解し、原状回復に関する特約が設けられているかどうかを確認することが不可欠です。
契約書には、退去時の修繕義務や負担範囲について明記されていることが多いため、入居者が不利にならない条件かどうかを事前にチェックすることが求められます。
例えば、「退去時に必ずクリーニング費用を支払う」や「壁紙を全面張り替える義務がある」といった特約がある場合、その内容が妥当かどうかを判断し、不明点があれば契約前にオーナーや管理会社に確認することが大切です。
また、契約時には、入居前の室内の状態を写真や動画で記録しておくことも有効な対策となります。
退去時に「入居時からあった傷なのか、それとも入居者による損傷なのか」といった点を明確にすることができ、不当な請求を防ぐことにつながります。
入居するタイミング
入居時に室内の傷や汚れ、設備の不具合などを細かくチェックし、それらの状態を写真や動画で記録することが有効です。
特にフローリングの傷や壁紙の汚れ、水回りの劣化などは、退去時の修繕費用をめぐるトラブルの原因になりやすいため、事前に管理会社やオーナーに報告し、必要に応じて書面で確認を取っておくことが望ましいです。
これにより、退去時に「入居時にはすでにあった損傷なのか、それとも入居者によるものなのか」を明確にでき、不当な修繕費の請求を防ぐことができます。
退去時・立ち合いするタイミング
退去が決まった時点で、賃貸借契約書の内容を改めて確認し、原状回復に関する特約や負担範囲について正確に把握しておくことが必要です。
特にクリーニング費用の負担や壁紙の張り替え条件など、契約時に合意した事項がどのように記載されているかを確認することで、予期せぬ請求を防ぐことができます。
また、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づく一般的な負担割合を把握しておけば、管理会社やオーナーから不当な請求を受けた場合に適切に対応できるようになります。
原状回復にかかる費用相場

原状回復にかかる費用相場は、壁や床、設備の修理や交換、清掃などの費用が含まれますが、部分的に相場が異なります。
主な費用相場は、以下の通りです。
- 壁のクロスの張替え:4~5万円
- 床の張替えや補修:3〜5万円
- フローリングの張替え:1〜6万円
- 畳の交換:1〜4万円
ぜひ参考にしてください。
原状回復工事なら八幡建装まで

原状回復工事は、オーナーと入居者で負担割合が異なります。トラブルを防ぐためには、事前にガイドラインの内容を理解することが大切です。
まずは負担割合の内容を意識し、トラブル回避をするために気をつけなければいけないことを整理しておきましょう。
八幡建装は、千葉県、東京都全域でマンションの原状回復工事も行っており、無料で相談も承っています。
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